植物の歴史というものを知りたくてこちらの本を読んでみました。
とても読みやすくて凄く面白かったです。
著者は静岡大学教授の植物学者である稲垣栄洋さんです。
人類の歴史は植物の歴史でもあると言い切っています。
歴史が苦手だという人は、人間の視点ではなく、こういった植物の観点から調べてみると案外すんなりと大まかに学ぶことができるのかもしれません。
出てくる植物はコムギ、イネ、コショウ、トウガラシ、ジャガイモ、トマト、ワタ、チャ、サトウキビ、ダイズ、タマネギ、チューリップ、トウモロコシ、サクラと、古代から現代まで人類にとってかかせないものです。
狩猟生活から農耕生活に移る時にはどんな植物がどのようにして利用され暗躍したのか、人間や動物と同じく植物も生存戦略として工夫を凝らし如何に変化してきたのかということがわかります。
世界的な目線からも書かれていてわかりやすいし、日本的な目線からも書かれていてとても面白い。
日本で主に食べられている米と大豆の組み合わせは栄養としてかなりバランスがいい。
古来から受け継がれてきた色々なものに思いを巡らせ、やはり恵まれた土地や水資源、森林など自然環境が豊かな国に生まれてきたのだなということを読んでいて感じました。
戦争が起こる理由なんかも、自分なりに考える材料になったと思います。
世界には色々な気候があり、その中で作物が育ちにくい地域もあったりして、それが少なからず人間の心理に影響を与えているのだなと知ることができました。
戦争が起こる要因は様々ですが、様々な時代に実はそれぞれの植物が絡んでいたりする。
人間が植物を都合よく利用してきたのか?
それとも種子を残し広く分布することを目的とする植物に人間が利用されているのか?
この視点というものは私には今までなかったので、とても深いところまで考えさせられます。
実は作物が支配者で、その支配者の世話をさせられている人間という考え方はSF的でありつつも、世の中の見え方がガラリと変わるものであります。