無知から始める読書習慣

読んだ本の感想と日々の変化記録

『本質をつかむ思考法~答えのない問いに最善の答えを出す方法~』読書感想

 

あらゆるものが複雑に絡み合って、本当に大事なことが見えなくなる世の中です。

そんな中「本質」という言葉に注目するようになり、本質を瞬時に掴めるようになりたいと思って読んだのが伊藤真の『本質を掴む思考法』です。

kindle Unlimited読み放題にて読むことができました。

 

 

 

最初に感想を書いてしまうと、読んで良かったし、この本は色々な人におすすめしたい。

「なんだかな」とモヤモヤとしている日々を送っている人には特にです。

世の中の見え方が変わって、モヤモヤがスッキリと晴れる。

 

 

まず冒頭で著者は日本人の行動を見ると考える能力が低下しているのではないか?という事を書いています。

これは、人が言っている事をそのまま鵜呑みにしたり、言葉を聞いてなんとなくわかったような気になり、そのまま企業や政治の支持に回ってしまうことに見て取れます。

 

「それぞれの言葉の本当の中身を突き止める」という行為はほとんど存在していないという。

 

実際に私の身近なところでも、噂話が回り誤解をされたり、事実の確認もせずに犯人扱いしたりということが多く起きていて、とても納得をするところであります。

 

 

著者はこれを自分で考えることをまったく放棄していて、社会にとっても本人にとっても危険な状態だと言っている。

 

しかし、自分の頭で考えるというのは楽ではありません。

だからこそ「それっぽい事を言っている人」の言う事を聞いておけばなんとかなると、無意識に思っている人が多いのではないでしょうか。

 

実際に、私も読書が習慣になる前は、自分の頭で何かを考えるという事は今より格段に少なく、それゆえに日々のあらゆることに関して苦痛も多かったです。

 

 

ではなぜ「自分の頭で考える」ことが日本人は難しいのか。

それはやはり学校教育に問題があるということになってきます。

本の学校教育の何が問題なのかが詳しく書かれています。

 

なんかもうこれはわかりきったことで、学校の教育に関してはもう諦めた方が早いんじゃないかと私は思っています。

 

この本では〝本質思考=物事を多方面から見る考え方〟とされています。

そうすることにより、全体を意識できるようになる。

しかし、慣れていなければそれが難しい。

 

 

そんな人のために『考えるための道具』について教えてくれている。

この道具の存在を知ることで、本質思考を習得できるというわけです。

 

 

例えば鳥の目(俯瞰)や昆虫の目(細分化)、水平思考、時間軸や空間軸を移動させるなど。

そして結構大事だなと思うのは「あらゆることを疑ってみる」ことについてです。

もっともらしい事を言う人の言葉を鵜呑みにしてしまうのは、この「一度疑ってみる」ということをしないからなんですよね。

 

そしてなぜ疑うことをしないのかというと、疑うための材料がないからだと思うのです。じゃあ、なんでその材料がないのかというと、私はやはり「本を読まないから」だと思う。

すべての人が本を読んだ方がいいとは思いませんが、本を読むことのメリットがありすぎるので、読書家がもっと増えればいいなと思っているこの頃です。

 

 

本質にたどりつくことは容易くはないのですが、「量」をこなすことで「質」が変わってくると書いている。

これは私も実感していて、読書を始めた頃よりも、確実に読む本の内容が濃かったり、本質的な内容のものに近づいていると思います。

 

 

そして激しく同意したのが「みんながいいと思うものこそ立ち止まって考えてみる」ということ。

この考え方ができる人が多く日本にいるだけで、全体主義的な間違いが起こる事態を防ぐことができるのではないでしょうか。

 

 

この本で新しい考え方が吹き込んできたのですが、それは短歌、俳句、川柳などを読むということ。

ほんのわずかな言葉を使って、ひとつの世界をつくりあげている

ということで、説明をするときにくどくどと長くなってしまいがちな私にとってはとても新鮮なことであり、まったく興味のなかった短歌などの見る目が変わりました。

 

 

その他は数字のもつ意味について。

これも非常に役に立ちます。

 

 

後半になると、「理屈」ではなく「感じる」ことの大切さについて説明されています。

この部分が私にとっては非常にためになる話であって、「感情抜きで考えるべき」と思っている人には一度読んでもらいたい部分あります。

 

私も「ロジカルシンキングこそベスト」という風潮には疑問を感じていたので、そこら辺がスッキリした。

 

当たり前なのですが、人間は知性や理性だけで動いているわけではない。

むしろ、感情という部分があるからこそロジカルにも考えることができるのであって、どちらかをないがしろにするべきものではないんですよね。

 

感情がどんなものなのかということを深く知るためにおすすめしたいのがこちらの本。

断捨離をした時に手放さなかった本のうちのひとつです。

 

非情に専門的であるにも関わらず温かみというセンスも感じられ、何か大事な事を忘れたときに読みたい本です。

 

 

と、少し脱線しましたが『本質をつかむ思考法』ではその他にも非常にためになることが盛りだくさんで、あと何回かまたくり返して読みたい本だと思いました。