無知から始める読書習慣

読んだ本の感想と日々の変化記録

(青空文庫)小川未明の〝東京の羽根〟読んでみました

 

たまに小説でも読んでみたいと思い、kindleに溜め込んであった本の中から一冊選んで読んでみました。

青空文庫なので無料で読めるところがありがたいです。

 

東京の羽根

東京の羽根

 

 

なんとなくタイトルが気になりダウンロードしておいた本です。

私は地方出身なので、東京というと夢の大都会といった幼い頃の印象がまだ残っているのですが、一体どんな内容なのだろうと思い読んでみると、意外にもとてもさっぱりしていて読みやすかったです。普段本を読んでいる人なら一瞬で読み終わります。

 

内容はとても可愛らしく、『東京の羽根』とはなんとお正月などによく遊んだあの羽根つきの羽根のことでした。


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もっと抽象的な羽根をイメージしていたので意外でした。

そして主人公はなんとその羽根です。

 

東京で空を舞っていた羽根は、持ち主の打ち方が良くなかったために、横へそれてトラックに乗ってしまった。

羽根はそのままトラックに乗って旅をすることになります。

「別の羽根をもってくるからいいよ」という持ち主のセリフに切なさを感じます。

 

途中で現れたカラスに東京に連れて行ってくれませんかと頼むも、トラックの速さにはかなわず、カラスはあっという間に後ろになってしまいます。

 

 

トラックに乗って田舎まで来てしまった羽根は田舎の人間の持ち物となり、羽子板で空を舞いますが、今回は屋根の上へと落とされてしまう。

そんな羽根の元にカラスがやってきて羽根を口ばしで加えた。

 

羽根はカラスにもう一度「東京に連れて行って」と頼みますが、カラスは耳に入らなかったように、森の中へ飛んで行きます。

辿り着いたのは、カラスの巣でした。

 

東京で空を舞っていた時にはもっと高く飛んでみたいと思っていましたが、今、羽根の望みは叶ったけどあまりにも寂しい。

 

 

最後は

この後、羽根はどうなるでありましょうか?

といった疑問で締めくくられています。

 

願いが叶ったけれどもそこで虚しさがおそってくるところに共感を覚え、そして羽根の可愛らしさ感じる内容でした。

 

 

 

読み終わってから、作者の〝小川未明(おがわみめい)〟というかたを調べてみたところ、なんと男性の作者でした。


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文章の繊細さやストーリーの雰囲気などからきっと昭和の時代の女性が書いたのだろうと思っていただけに驚きでした。