無知から始める読書習慣

読んだ本の感想と日々の変化記録

たまには詩集を眺めてみる。『愛の詩集』 市橋織江(写真) 谷郁雄(詩)

数年前購入し、あまり開くことのなかった詩集を読んでみました。

せわしない現代で、心落ち着くことができる内容です。

『愛の詩集』ということで、恋や愛について短い詩と、たまに写真が載っていて、つかの間の幸せを感じることができる。

 

写真も儚く綺麗な風景ばかりで、詩も大事なことに気付かされるような温かい詩です。

春になったら午後の日差しを浴びて紅茶でも飲みながら読みたいそんな本。

 

全部で34の詩が載っています。

その時々によって心に響くものは違いますが、今回私の心に響いてきたのが

 

 

転生

 

外は寒かった

始めて空気を吸って吐き出した

怖くて泣いた

けれど悲しみはまだ知らなかった

「女の子ですよ」と誰かが言った

「女の子なのか」と私は思った

まだ何も見えなかった人の手のぬくもりをはじめて知った

それから私は思いっきり手足をのばしてくつろいだ

息をするのに慣れてきた

もうちっとも怖くない

 

あの人もどこかで生まれ変わっただろうか?

 

『愛の詩集』より引用

 

の詩です。私は転生というものを信じているわけではありませんが、何故かこの詩には心惹かれてしまった。

〝トルソー(マネキン)が新品の服を着て、大きなバッグを持って陽が差す窓の外を眺めている〟といった写真も添えられていますが、この写真がまた詩を引き立てていてとても良い。

 

なんとなくじわっと温かくなるそんな詩集でした。

 

愛の詩集

愛の詩集