無知から始める読書習慣

読んだ本の感想と日々の変化記録

笑とユーモアの心理学ー何が可笑しいの?-雨宮俊彦著 読書感想

人間って何で笑うんだろうという素朴な疑問からこの本を買って読んでみました。3500円と、結構なお値段のする本です。

人によって笑いのつぼって違いますが、そもそも人間はいつから笑うようになったのか、何のために笑うのか、というところが気になってしまい選んだ本です。

 

美しさは対象ではなく、それを見る人の心の中にある。

可笑しさについても「可笑しさも感じる人の心の中にある」と言えるだろう。

何を美しいと思えるのか、何を可笑しいと感じるのかは人それぞれ違います。

特にテレビ番組やお笑いはその国々でウケるものが違う。日本ではウケていても海外ではまったく通じないということはよくある。

 

年代によっても笑える部分が変わってくるような気がます。

一時期年配の方に綾小路きみまろが凄くウケていましたが私にはいまいちわかりません。私は秋山クリエイターファイルがツボでよく動画を見て笑っています。

 

モノマネ番組なんかは見ていても私個人的に笑えるところはなく、これを面白いと感じる人と感じない人の違いは一体なんなんだろうとか考えていました。

 

この本では主に感情心理学からの解明が試みられています。その他言語学、生理学など。フロイトダーウィンなど、色んな研究者の名前が出てきて、昔から研究されてきたことだというのはわかりました。

しかしまだまだ発展途上の分野で、まだわかってないことも色々とあり、これから花開いてく分野なんだなと思いました。

実験・研究内容などがふんだんに盛り込まれている本なので、読むのには結構時間がかかりました。

 

基本的には日本の笑いには『笑む』と『笑う』の二つに分けられ、笑むが声を伴わない笑い、笑うが声をともなう笑いとなっている。

 

特に『笑う』の方は行動を現した「揺すり笑い」「馬鹿笑い」「大笑い」

感情と関連した笑いは「泣き笑い」「はにかみ笑い」「照れ笑い」

社会と関連した笑いには「もらい笑い」「追従笑い」「愛想笑い」

更に攻撃的な笑いには「嘲笑い」「鼻先笑い」などがあります。

 (他にもまだまだ沢山あります)

さらにオノマトペを用いた笑いには

「ケタケタ笑い」「にこにこ」「へらへら」

この「にこにこ」という言葉を聞いただけで脳の視覚領域も活性化されるらしい。

 

ユーモアという言葉についてはラテン語由来で元々は体液とか気質の意味で用いられていて、その後権威を敬い、自己制御を重んじた中世では笑の的となる変わり者を指す言葉として使われていた。(いい意味では使われていなかったようです)

 

19世紀に入ってから、現代と同じように人を笑わせる才能のような意味で使われるようになった。時代背景と共に変化してきたところが面白い。

 

この本の中で『ジンバルドの堕天使効果』という言葉が出てきました。

例えばどんなものなのかとネットで調べてみたら、TEDで「普通の人がどうやって怪物や英雄に変貌するか」という動画があったので見てみました。

内容はもちろん面白かったのですが、最後で会場が一笑い起きていて、人を笑わせるという事は一つの知性だと感じました。

他のTEDとかを見ていても思いますが、笑いが起こると「さすがだな」と思ってしまう。

 

 

更にこの本にはどんな笑顔の時に顔のどこの筋肉が動いているか、

笑っている時には体は何が起こっているのかなど、身体的な笑いについても細かく書かれてあります。

 

くすぐりについても詳しくかかれてあって面白かった。

安心感のある相手にやられるなら笑いが生ずるが、見知らぬ相手だと苦痛でしかなく、実際に昔の拷問には「くすぐりの刑」というものがあったらしいです。

また、ネズミの超音波をしらべる実験でも、くすぐられるとポジティブな超音波を出したらしい。しかし、ネズミは人間やチンパンジーとは起源が違うのだそうです。まだわかってないことが多すぎて読むのが難しかった。

 

 笑いとユーモアの効用についても書かれてあり、難病が治った話や、ポジティブ感情が病気の予防や健康にプラスの効果があるのかというところまで書かれてありました。

インフルエンザのウィルスを投与し発病頻度を調べた実験ではネガティブ感情の程度が高い人ほど発症頻度が圧倒的に高かった。

さらに、ラットを使った実験では腫瘍を移植し、ストレスをかけたラットとかけなかったラットではストレスをかけたラットの方が死ぬ確率が高くなったのだそうです。

 

しかし息の長い追跡調査では子供の頃にユーモア度の高い子供は大人になってからそうでない子より早く死ぬということがわかりました。

理由は楽観的な子の方が、大人になってから飲酒や喫煙を好み、健康にも注意を払わない傾向にあるとのこと。

長寿だったのは生真面目な子だそうだ。

追跡調査など研究はまだ始まったばかりなので、これから先の時代に新たなことが色々とわかっていくのだと思います。

 

喘息については、笑いは逆に発作を誘発するなど、「とにかくなんでもかんでも笑いやユーモアにつなげればいい」というわけではないようです。

 

魚を使った実験では、慢性的なストレスを与えた結果無気力状態に入り、人間でいううつ状態になったそうです。

人間も同じで慢性化したストレスにさらされ続け、脳への影響が蓄積するとうつ状態に陥る。

しかしストレスも、受け取り方や対処の仕方でプラスに働くこともあるので、ストレスとうまく付き合っていくことの大切さがわかりました。

 

身体的病気から回復した人は、勇気や親切さ、ユーモアが増し、心理的な障害から回復した人は美的感受性と向学心が増したとの報告がある

 最後の章ではこのようなことが書かれていて、一番心に残りました。

 

総合的な感想は、私にはちょっと難しかったです。

というのも、専門用語や横文字の研究者の名前がふんだんに出てくるので、もともと知識がそれなりにある人や、普段からそうとうに本を読んでいる人向けの本だと思いました。それだけ質の高い本なので、読んで良かったです。

 

 

笑いとユーモアの心理学:何が可笑しいの?

笑いとユーモアの心理学:何が可笑しいの?

 

 

 

人生が劇的に軽くなるひと言〝FUCK IT〟「思い込み」をぶっこわせ!ジョン・C・パーキン/雲 黒斎(監訳) レビュー感想

インターネットで、欲しい本の関連書籍に出てきて面白そうだったので読んでみました。

一般にはお行儀の悪い言葉としてこの言葉は知られています。

FUCK ITはもともとは「セックスする」という意味だったらしいが、時代が進むにつれて意味の範囲が広くなったそうです。

 

 

冒頭部分

【FUCK IT】

その一言で、人生に苦痛をもたらしている執着を手放し、人生の流れに身を委ねてみよう。

【FUCK IT】

その一言を起点に、やりたくない事をやめて、ずっとやりたかったことを始めよう。

【FUCK IT】

と何かに向かって叫んでみよう。そして、そこにある自由と解放感を感じてほしい。その感覚を10乗した爽快感が、君の日常に流れ出したらどうなるだろう。

【FUCK IT】

さあ、僕と一緒に叫んでみよう。そうすれば、今のありのままでいることに幸せを感じられるようになる。

 

監訳の雲黒斎さんによると、「常識」や「当たり前」などといったものの中に潜む、ある種の集団催眠状態という呪縛から、洞察に優れたメッセージなのだそうです。

 

この本を読んでいて面白いのは、世の中で当たり前で通っているあらゆることに【FUCK IT】と言ってみようというもの。

何かにとらわれている時には軽くなる言葉です。

 

人間の苦痛のたいがいは、「執着」から生まれている

 世の中の問題や、うんざりするような出来事は、大体が人間がいつの間にかはまってしまう執着の問題です。

 

その執着を【FUCK IT】と言って手放してしまおう。

その言葉と共に毎度同じパターンの思考を払拭してしまおう。

 

やっちゃいけないと思い込んでたことをやってみよう

 これは限度があるとは思いますが、腐れ縁と縁を切ってみたり、食べるのを我慢していた物を食べてみたり。

 

私は休むことに罪悪感を覚えやすいので、最近は疲れたなと思たら思う存分休むようにしています。眠れるだけ寝たり、観たいだけ映画を観たり、音楽を聴いたり。

前だと自堕落だなと思ってやっていたことも、開き直ってやってしまった方が逆に調子がよくなる。

 

【FUCK IT】とお下品な言葉を使っていますが、内容はスピリチュアル寄りです。

しかしスピリチュアルが苦手な人が読んでも楽しい本です。

とにかくこの本はノリが軽い(笑)ノリが軽いので心も軽くなる。

 

真面目に順調に生きてきた人にとってはきっと心地の悪い本でしょう。

しかし、何かを突破したくて苦しんでいる人には、「突破するものなんて何もなかった」お思わせてくれるんじゃないかと思います。

 

FUCK IT 「思い込み」をぶっこわせ!: 人生が劇的に軽くなるひと言 (単行本)

FUCK IT 「思い込み」をぶっこわせ!: 人生が劇的に軽くなるひと言 (単行本)

 

 

 

『アスペルガー症候群の難題』井出草平    感想

ここ最近で頻繁に耳にするようになった〝アスペルガー症候群〟という言葉。

ネットなどでも一般常識から外れた書き込みや、相手のことを考えない書き込みがあると、簡単に「アスペルガー」といった言葉で罵ったりしている人もみられます。

 

前にユーチューブを見ていたら「アスペルガーと診断されました」と動画を公開している人がいました。

しかしその人の動画を見ても特に目立って人と変わって見えるところはない。

口頭では「こういうところが異常だ」などとは述べているものの、私にはイマイチ理解ができませんでした。

 

そこで、今回は本屋さんで見つけた〝アスペルガー症候群の難題〟という本を読んでみました。

 

内容は、【アスペルガー症候群と犯罪】についてに重きが置かれていました。

しかし、決してアスペルガー=犯罪を犯しやすいということが言いたいのではなくて、

アスペルガー症候群の特性を知り、犯罪が起きてしまった時にどう対処するか、事前の対策などの重要性、情報共有の必要性についてなどが書かれてあります。

 

 

【17歳の犯罪】という言葉が報道されるようになった時期があり、相次いで奇怪な殺人事件が起こり、理解不能な少年の殺人行為は世間を騒がせた。

「最近は凶悪な犯罪が増えた」という言葉が度々聞かれますが、犯罪が多かった時期は戦後が一番だそうで、率も今では五分の一にまで下がっているそうです。

 

犯罪の数は減ったかもしれないが、「犯罪の質が凶悪化しているんじゃないか」との考えに対しては、昔も今も凶悪な犯罪を犯すものは一定でいたということがデータを用いた説明でわかりました。

 

しかしアスペルガーの診断を下すには、幼少期の行動の観察が必要なので、昔の人物で残酷な行いをする人がいても、憶測では「アスペルガーなんじゃないか」と言えても診断を下すことはもちろんできない。

 

・神戸児童連続殺人

・大阪姉妹殺人事件

全日空61便ハイジャック事件

などの凶悪犯罪が例に書かれてあって、犯行当時の様子や、犯行後の少年が発した言動や考え方などがやはり一般とは違う思考回路を持っているんだなと感じました。

 

この当時から〝アスペルガー症候群〟という言葉がニュースなどでも出てくるようになり、今現在では逆に使われなくなったとのこと。

使われなくなった理由は、ちゃんとした知識を持っていない人が間違った情報を流したりして世間に誤解を与えてしまうから。

 

共感性の欠如や、家庭内暴力についてもかかれてあり、個人の問題とするのではなく、社会の問題として捉え、公的な支援をしいくべきだというところには納得しました。

しかし自分の子供が自閉症や精神病だということを受け入れられない親も多く隠したがる人も多いので、そこがネックなんだと私は思いました。

 

この本ではアスペルガーと犯罪との関係性について書かれてありましたが、アスペルガーの方は才能豊かな人も非常に多いと聞くので、今度はまた違った視点での本も読んでみたいと思います。

 

アスペルガー症候群の難題 (光文社新書)

アスペルガー症候群の難題 (光文社新書)

 

 

 

 

『権威と権力』ーーいうことをきかせる原理・きく原理ーーなだいなだ著 レビュー

精神科医でもあった〝なだいなだ〟著の『権威と権力』~いうことをきかせる原理・きく原理~を読んでみました。

 

1974年と古い本ですが、中身がつまっていて面白く、読みやすいです。

現在でも無駄だと思われる権力がはびこっているというのに、この時代で既にこのような本が出ていたのは驚きです。

 

私はここ数年前までテレビによって暗示をかけられているという発想などなかったのに、この時代にもう既にテレビには色んな暗示にかかるようなことが仕掛けられているということが書かれてあります。

 

 

A君という高校生と著者との対話形式で、A君自身と一緒に〝権力とは何か〟を考えていくという過程が、強制的に教え込むのではなくいいです。

 

 

A君はクラスメートはもちろん、国民がバラバラでまとまりがないことに苛立ちを覚えています。

そこでA君がバラバラなクラスに必要なのは〝英雄〟もしくは〝強力な指導者〟だと考えます。

 

以前は決まりがあり、みんなそれを守っていた。

しかし、現在はみんなが自由気ままになり、決まりも守らなくなった。

A君は既存のルールを守る典型的な〝いいこ〟です。

 

 

ここで何故〝決まりを守らなくなったのか〟ということを考えると、

〝ある力が失われたからだ〟=権威の力が弱まったというところにいきつきます。

 

家では父親、学校では先生、国など。

確かに今ではサザエさんの波平のような父親はほとんど見かけません。

 時代遅れだとさえ言われています。

 

父親の権威などを主張していたA君に面白い問いをかける。

「女性には権威がないことになるのかな」

 この部分はフェミニスト気味な私の心を打った。

 

 

権威は個人の中にばかりあるものでなく、それ以外のところにもある。

大学の先生に権威を感じなくなったのは、昔に比べて誰でもなれるようになったから。

権威がなくなった先生は今度は何によって支配しようとするかというと権力という力に頼る事になる。

 

つまり、自発的に従わせるのではなく、支配する側が権力という力を使う。

 凄く腑に落ちるところで、学校などは特に〝従わせる〟傾向が強いと思います。

 

 

〝少年よ大志をいだけ〟でおなじみのクラーク博士は「規則はいらない」といって、

一年間その学校にいる間は規則がなかったが、よくまとまっていたらしい。

 

いなくなったその後に規則が出来た。

 

 

権力には人を簡単に信じ込ませる力がある。

権力がある人の言うことと、何もない人のいうことでは明らかにある人の方が信じやすい。

 そして権力と権威との違いとは・・・

権威は自ら進んで従う

権力は強制的に従わせられる

 となり、根本的に違うものとなります。

本来は自ら従うべきところを、色んな力を使って従わせる。

 

 

依存している人間の言うことを聞かなければならない。

というところには更にハッとさせられた。

 

 

親と子の間には必然的に依存関係が出来上がって(子供は自分では何もできないから)、

だから子供が大きくなるにつれて親という肩書を使い、言うことを聞かせようとする。

 

 

神と人間との関係もよく父と子との関係に例えられます。

全知全能と未完成のもの。そこに力の差が生まれ、場合によっては権力というものが発生する(ある種の宗教など)。

 

 

 

親と子、先生と生徒の間に権力が生まれる理由が圧倒的な知識の差であるとすれば、インターネットが登場した現代ではその知識の差が縮まってきたのではないかと思います。

 

第一の反抗期は「なんでもイヤ」という時期がくるが、これは「自分には意志がある」ということを主張したいためだとあります。

 

 

人間は果たしてバラバラのまま生きられないものなのだろうか

 

まとまって何かをしたいものもいればしたくないものもいる

 

したくないものまでやらせるとなったら、それは強制ではなかろうか

 

 

 

しかし未だにこの依存と権力の構造にハマり、身動きの取れない人のなんと多い事か。

かなり前の本ですが、時代が変わりつつある今でこそ読んだ方がいい本だと思います。

 

歪んだ支配構造ができやすい、 家庭、学校、会社のどれかがうまくいっていない人は一度読んでみると腑に落ちる本だと思いました。

 

 

権威と権力――いうことをきかせる原理・きく原理 (岩波新書 青版 C-36)

権威と権力――いうことをきかせる原理・きく原理 (岩波新書 青版 C-36)

 

 

 

【偶然】の統計学 デイヴィッド・J・ハンド 感想

〝考えれば考えるほど起こりそうにない物事が何故起こるのかについて語っていく〟

近代科学以前のはるかかなたに起源を持っている説明は時代遅れだとばっさり言い切っています。

 

例えば予言や神々心霊現象、シンクロニシティ、予知などなど。

 

空高く投げたボールが運悪くワイングラスの中に入った

 

こういう偶然が起こると人間は背後に謎のパワーがあると思いたがる。

それが、近代科学以前の迷信や予言などということになりますが、

 人が想像できない程の偶然が起こったとしてもそれは確立としては起こりえることで、奇跡や神の仕業ではないということです。

 

 

因果関係の表れであるパターンと、そうでないパターン(たんなる偶然)を見分ける。

ありえない出来事(いいことも悪いことも)が起こった時になんでもかんでも「背後に何かがある」と思ってしまうのはナンセンスだというところが勉強になり、

因果があることと、ないことの二種類があるということは心に留めておくべきだと思いました。

 

科学者の名前や法則などが頻繁に出てくるので ある程度それなりの知識を持っている人じゃないと難しい内容の本だと思いました。

「偶然」の統計学

「偶然」の統計学

 

 

ロングテール 「売れない商品」を宝の山に変える新戦略 クリス・アンダーソン 感想

大衆文化といって、70~80年代はみんな同じテレビを観て、次の日の学校や会社ではかならずと言っていいほど昨日のテレビの内容で盛り上がっていました。

 

なので、注目を浴びればどこまででもヒットするし、どんなにいいものでもメディアに見つけてもらえなければ埋もれたままという時代がしばらく続きました。

 

インターネットの登場と共に、その出来上がった構図が崩れ始めているといった内容の本です。

 

 

〝ヒット作は未だに注目の的ではあるけれど、もう昔のような富は生まない〟

昔はみんなが同じものをみて、同じものを持って、好きになってましたが、

現在ではガラッと時代も変わり、昔なら誰も見向きもしなかったようなニッチなものにまでスポットライトが当たるようになった。

 

 

テレビやラジオのように、送り手が一方的に大量の人相手にメッセージを送るということが大衆操作に繋がっていましたが、インターネットの登場により、一対一での通信が可能になり、それが個人が個々の細かな嗜好に合ったニッチな作品に触れる機会を作ったので、あらゆるメジャーなものからニッチな作品まで、誰の選別も受けずに無制限に手に入るようになりました。

 

 

よく映画でも音楽でも〝昔のものの方が良かった〟などという言葉が聞かれますが、それは単純に大体の人が同じものを見ていた時代から違うものを見るようになったというだけの話だと思われます。

 

昔も今も変わらず良いものは生み出され続けています。

 

ただ、昔は皆が同じものを見て、同じく感動していたので相乗効果も高まりやすかった。

 

 

 アメリカの音楽に関しては、バックストリートボーイズ、ブリトニースピアーズ、インシンクを最後に音楽産業の成績が悪くなっていくと書かれてあります。

 

 

最近ではCDショップはもちろん、本屋さんもどんどん潰れて行っています。

CDをわざわざ買わなくてもダウンロードしたり、聴き放題プランに入れば手軽に聴ける。

本に関しては、Amazonでポチっとやればすぐに家に届いてしまうし、更には電子書籍というものが登場したので、本屋さんに行く人は本当に減ったと思います。

 

 

私も数年前は月に二回くらいは本屋さんで本を買っていましたが、現在では本屋さんに行くことはほぼゼロです。

 

 

大企業でなければ大ヒットは生み出せなかった時代から一転、今は個人が生み出したものが、大企業と肩を並べるチャンスのある時代です。

 

 

自費出版という形も、昔に比べて取りやすくなった。

もし自分が何か(くだらないものだったとしても)売りたいものがあれば、誰に認められなくとも、売りに出せてしまうのです。

 

音楽や映像、自分が作った作品から拾ったもの、ガラクタまで様々な物に値段がつくようになりました。

 

 

 

そして買う側もなんでも手に入る時代になっています。

参戦者が多くなったことにより、売りに出す側の競争が激しくなりあらゆるものの値段が安くなっています。

 

結局はヒットしそうなもの、しなさそうなものをつくったとしても、グローバルな目で見た時に、かならず一定のマニアがいるので、わざわざ狙う必要はないということです。

 

基本的にアメリカのデータをベースに書かれているので、アメリカでヒットしたものなどが参考に出てきますが、カタカナが沢山出てきて少し読むのが大変だった。

 

 

 

 

読書感想『ニートの歩き方』お金が無くても楽しく暮らすためのインターネット活用方法  Pha(ファ)

「だるい。めんどくさい。働きたくない。」という文から始まる一冊です。

この本は

・純粋に生きてきた人

・順風満帆な人

・努力が好きな人

・そこそこうまくやれている人

は理解しがたい本だと思います。

 

逆に

・何をやってもダメな人

・とにかく人や仕事が嫌いな人

・そんな自分が嫌いな人

・眠くて仕方ない人

・この世界は地獄のようだと思っている人

は読んだ方がいい本だと思いました。

 

 

そもそも本を読む事=知識をつける、意識を高めるなどのイメージがありますが、

こちらの本は「ダメな自分だけどそれでもいい」と思える本です。

 

本文より

『「人間はちゃんと会社に勤めて真面目に働いて結婚して幸せな家庭を作るのが当たり前の生き方だ」という社会のルールにうまく適応できなくてしんどい思いをしている人が、いろんな生き方があることを知ることで少しでも楽になればいいなと思って書いたものだ。』

 

何故適応できないのか

原因はなんなのか

直す方法

 

などの本はありふれていますが、

この手の「ダメな自分をそれでもいいと受け入れて生きて行く」というのは新しいタイプの本だと思います。

 

 

ニート』という言葉が頻繁にでてきますが、なんのためらいもなく一般の人にはダメに見える事をあけすけに書いているのでとても気持ちがいいです。

 

 

日本は豊かな国のはずなのに、若者が閉塞感を感じてしまうのは何故かというところでは〝日本の経済がまだ成長しているころに作られたルールや価値観が生き残っていて、それがみんなを縛っているせいなんじゃないかと思う〟といった文にはなるほどなと思いました。

 

 

ニート=ダメな人みたいなイメージがありますが、私は著者は頭が良すぎて世の中に馴染めない人なのではないかと思います。

 

 

 

インターネットの活用法とありますが、シェアハウスや、小銭稼ぎ、保険や年金のことなど様々なことが参考になります。

 

常識とは違う事が書いてあるのでかなり面白いです。

著者の正直すぎる生き方と面白いくらいに一般的にはダメな奴具合が逆に気持ちがいい。

 

しかし、世の中にいる〝死にたいぐらいにこの世界が嫌だ〟と思っている人にとっては救世主のような存在ではないでしょうか。

 

毎朝決まった時間に起きて決まった場所に行くことを繰り返すのが苦痛だったというところには共感しかありません。

 

この本では、ニートを全面的に肯定する事だけではなく、諦めなくてはならないことなども書かれていて、現実的に脱線する方法が書かれています。

 

更に資本主義や社会主義についての真面目な話から日常の性欲についてまで内容は幅広いです。

 

むしろ最先端

・必要なものを最低限だけ持って、あとは借りたりシェアでいい

という考え方はむしろ今の時代にあっては最先端です。

 

この本を読んでいると定職についてなくても、お金がそんなになくても生きていけるということがわかります。

 

ただ、積極的に情報を収集する能力だけは必要だと思います。

 

この本のなかでは『ニートのためのブックガイド』といって、ニート気質の人が役に立ちそうな本の紹介がされています。

 

純粋に面白そうなので読んでみたいと思います。

 

『できれば年を取っても若者や新しいものを無闇に否定するんじゃなくて、いつまでも新しいものを面白がりながら生きていたいと思う。』というところには特に共感。

 

他にも本を出していて面白そうなので読んでみたいと思います。

 

 

ニートの歩き方 ――お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法

ニートの歩き方 ――お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法