無知から始める読書習慣

読んだ本の感想と日々の変化記録

ヘンリー・D・ソローの『モノやお金がなくても豊かに暮らせる。』読んでみた感想

 

 

断捨離を始めてから二年ほどが経ち、最近ではすっかり価値観やお金に対する考え方などが変わってきました。

「少ない物でスッキリ暮らす」系の本が最近よく目につくようになりましたが、ミニマリストの本家本元のような本を発見したので読んでみました。

 

 

モノやお金がなくても豊かに暮らせる

モノやお金がなくても豊かに暮らせる

 

 

 

このヘンリー・D・ソローという方はWikipediaによると、アメリカの作家、思想家、詩人、博物学者で1817年~1862年までを生きていた人物とされています。

 

最近読む本でよく見かけるようになった名前なのですが、今流行している断捨離ミニマリストノマドという生き方を誰よりも早く実践していた人物であるといえます。

 

その内容は

モノで身動きが取れない生活を捨てて、1845年夏、ウォールデン湖の森の中に丸太小屋をつくり、自給自足の生活を始めた。

とのこと。

長い間森の中にいたのかなと?思いきや、2年2ヵ月と、そこそこ短いような感じもします。2年程度なら私も森や山で暮らしてみたいなと思いました。

 

当時のアメリでは既に「大量生産」「大量消費」が始まっていたようで、ヘンリーはそんな暮らしの変わっていく姿に嫌気がさしたのかもしれません。

実際に本を読んでいて、世の中に対する疑問を持っていて、少し皮肉っぽく感じる部分もありましたが、自然を愛しているのだなとも感じました。

 

 

 森での生活中に人頭税(納税能力に関係なく全ての国民に課せられる税)の納付を拒否して逮捕・投獄されているという。

当時の社会や政治に対して強い疑問を持っていいたということがわかります。

 

確かにヘンリーのように、働かずにモノも買わず、自給自足で生活し、そのことに満足している人から税金を取るというのはどうなのかなと感じました。

当時は移動手段も徒歩と、お金を使わない生き方を徹底していたとのこと。

汽車に乗るためにはお金がかかるが、そのお金を稼ぐのに自分の時間を消耗し労働として提供しなければならなくなるので、結局その時間を考えたら歩いても同じなのでは?という考えを持っていたのです。

現代と当時では状況が違ってくるのでなんとも言えませんが、こういった疑問を持つことに関して見習うべきところがあると思いました。

 

 

この本の中で特に印象に残ったのはモノを買わなければ肉体も精神も消耗させる労働から解放されるという部分です。

例えば、無駄に仕事をしなければ疲れることがないので、お腹があまり空かない。

だからそれほど食費はかからない。

朝早く起きなくていいし、ストレスもないので、ストレスを解消するためのコーヒーやお茶も必要ない。

服を着る最大限の目的は「体温を保つこと」「裸で歩き回らないこと」など、言われてみればそうだよなと思うような事ばかりでした。

 

 

もっと若いころにこういった考え方に出会っていればどんなに良かっただろうか?と思うことが最近よくあるのですが、当時欲望まみれだった自分にこういった考え方が響くのかどうかは謎です。

でも少なくともいらない苦労や無駄な消費をせずに、常にひっ迫しているという日々を過ごさずにすんだかもしれません。

当時は本当に疲れ切っていましたので・・・。

 

「働くため」に余分にモノを揃えたり働いてそのストレスを解消するためにお金を使ってまた稼ぐという行為は本当に無駄だったなと思います。

維持するためにもまたお金がかかる。

 

 

現代人の骨格も先祖の骨格もほとんど変わらない。つまり生きるのに最低限必要なものはほとんど変わらないという言葉が出てきますが、その最低限必要なものとは「食べ物」だと書かれてあります。

 

現代の日本では食べ物は贅沢をしなければ安く手に入れることができるし、やろうと思えば無駄な消費をせずに本当にスリムな生活ができるんだよなと改めて思いました。

 

 

すごくシンプルなことが書かれている本ですが、自分の生活はどうなのか?と疑問を持ち、考えなおすのにとても参考になる本だと思いました。

そして、ここ数年お金を使わないように徹底して過ごしてきましたが、この本を読んで本に書かれていることとは逆かもしれませんが「消費することはそんなに悪いことじゃないかな」と考えるようになりました。

 

ヘンリーの生活を実際に実行するとしたらどうなのか?と想像をめぐらせた結果、モノがないことの身軽さと、便利さの間のちょうどいいところで暮らしていきたいという考え方に至りました。