無知から始める読書習慣

読んだ本の感想と日々の変化記録

読書レビュー『死の壁』養老孟司

 

 

新型コロナとか、自然災害とか、「死」というものは思っているよりももっと身近なものだと私はここ何年かで捉えるようになった。

 

みんないつか必ず、しかもそんなに遠くない未来に死ぬのに、なぜ平然としていられるのか不思議に思うことがたまにあります。

 

それは現代になってからのことで、中世の日本では、「九相詩絵巻」や「一休和尚法語」「一休骸骨」などを見てわかるように、もっと「死」というものが身近にあったという。

現代はそもそも「死」について考えないようになっているとのこと。

 

「死」について様々な角度から語られている。

「なぜ人を殺してはいけないのか」

「なぜ自殺してはいけないのか」

安楽死はなぜ問題なのか」

解剖学者だからこその考え方が書かれている。

 

世の中では安楽死や死刑の「させられる側」「してもらう側」の目線からの議論ばかりがされて、「手を下す側」である医師や死刑を執行する側の気持ちにはフォーカスされていないことについて、はっとさせられた。

 

「死」を扱っている内容だけれど、重くはない。

非常に理路整然、あっさりとしていますが、自分が今まで見えていなかったものなどについて知ることができて、これから色々と物事を色んな角度から柔軟に考えるきっかけになる内容でした。