無知から始める読書習慣

読んだ本の感想と日々の変化記録

『有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。』ドリヤス工場著 【読んでみた感想】

 

有名文学を読んでみたいけどなかなか小説を読むゆとりがない。

そんな私が最近みつけた本が『有名すぎる文学作品を10ページくらいの漫画で読む。』です。

 

 

 

この本は「有名文学はきっと読むのに数日かかるし,理解するのも難しいのだろう」といった心配を払拭してくれます。

なんと25作品の小説が,一冊10ページの漫画でまとめられているという,驚きの本です。

 

人間失格山月記檸檬舞姫桜の森の満開の下、変身、注文の多い料理店、ぼく東綺譚、高野聖三四郎雪の女王羅生門、蒲団、五重塔、ごん狐、たけくらべ阿Q正伝野菊の墓、イワンのバカ、モルグ街の殺人、恩讐の彼方に浮雲ラプンツェルドグラ・マグラ風立ちぬ

 

と、なんとなく聞いたことのる小説ばかりですが、ほとんど読んだことがないものばかりでした。今回は特に印象に残ったものの感想を書いていきます。

 

 

まず、一番最初の漫画は人間失格です。

太宰治の小説で、私も名前だけは何度も聞いたことがあり、一度は読んでみたいと思っていた小説です。ただ、なんとなく暗い小説なのだろうなと、手を出さずにいました。

漫画で描かれているので、読み終わった後、そこまで暗い気持ちにはならずに『人間失格』の全体を把握できました。

絵は昭和の時代の侘しい感じがなんともいえない味があり、そして主人公の素朴な雰囲気も味わい深いものでした。

 

 

桜の森の満開の下は、坂口安吾の小説です。

題名は素敵なイメージがあるのですが、内容はえぐい。

森の山賊は女房が7人いるのですが、新しい女房がやってくると、その女房に言われ、古い女房の首を次々に斬って殺してしまう。

この本の漫画の中では、最後のページで女が妖怪に化けたかと思うと、桜吹雪と共に男も一緒に消えてしまう。

意味が分からな過ぎて、小説を読んでみたいと思いました(笑)

恐い内容なのですが、漫画ですごく簡潔に書かれているので、ツッコミどころ満載で面白い。

 

 

 

 

 

 

フランツ・カフカ『変身』は、ある日主人公が虫になっているという、恐ろしい小説。テレビかなんかで聞いたことがあったのですが、こちらの漫画で読むととてもシュールな展開です。とても簡潔に描かれているのですが、実際の小説で読んだらどれだけ濃い内容のものなんだ?と気になってしまいました。

 

 

芥川龍之介羅生門

名前は聞いたことがあったのですが、自分が想像していた内容とは大きく異なっていました。

武士道的な内容なのかなと勝手に思っていたら、荒れ果てた羅生門での盗人や老婆などとのやりとりが描かれています。

これが、いかにも生々しくて、こちらも侘しさを感じるものでした。

 

 

『ごん狐』は、小学校で読んだ記憶がありますが、内容が悲しすぎてあまり好きになれないストーリーだったのを覚えています。

今回あらためて読んでみると、やっぱり悲しかった。

そして、ごん狐のキャラクターが可愛らしく、そして健気なところにぐっときてしまったのですが、最終的には誤解でごん狐は撃たれてしまう。

作者は一体何を伝えたかったのだろう?無情です。

 

 

夢野久作ドグラ・マグラは奇怪すぎてまったく理解する事ができなかった。

調べてみると、日本三大奇書の一つだという。

どうりで理解できなかったわけですが、これが印象に残り、小説を読んでみたいと思いました。

 

 

 

絵自体はうまいとは言えない作画なのですが、そのおかげでキャラクターに妙な愛嬌があり、そして背景などが昭和の懐かしい感じの風景をうまく表現していて、物語の世界にはまることができました。

気軽に文学を楽しみたい方にとてもオススメの本です。