無知から始める読書習慣

読んだ本の感想と日々の変化記録

〝経済ってそういうことだったのか会議〟佐藤雅彦 竹中平蔵 感想

 

経済ってそういうことだったのか会議 (日経ビジネス人文庫)

 

新聞も読まない、ニュースもさほど見ないため、経済のことが全くわからないので

〝経済ってそういうことだったのか会議〟を読みました。

 

読み終えてわかったことですが、この本2002年第一刷発行なのでかなり古いです。

経済は瞬く間に形を変えるので内容は古いですが、それでも基本的なベースはいつの時代も同じ。

わかりやすくとても面白い本でした。

 

難しい用語などは、本文の下に解説がついていますが、それでも私にとっては聞き慣れない言葉が沢山でてきたので、その度に検索しながら読んだため、読み終えるのに時間はかかりましたが、かなり知識がつきました。

 

経済人と、経済に詳しくない者との対話形式の本です。

 

 

第一章からさっそく【お金の正体】という題材から入ってきます。
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「お金とは何か」などどは考えもせずに生きてきましたが、ここではお金の本質にせまっています。

 

対話人の小学生のころに流行った牛乳瓶の蓋集めの話がすごくわかりやすく、幼い頃からすでに『価値の交換』が始まっていたことを思い知らされます。

 

何気なく集めていた牛乳瓶の蓋が、いつのまにか流行り出し価値を持つようになり、掃除当番と交換、傷物の蓋十枚と綺麗な蓋一枚などと、価値が出来上がってくるが、

ある日一人の少年が大量の新品の蓋を持ってきたことにより、何かが失われ急速に牛乳瓶の蓋は価値がなくなりゴミとなったという話。

 

 

市場経済のミニチュア版ということでとてもわかりやすいです。

 

 

そういうことでいえば、私も幼稚園の頃に、シールの交換ということですでに価値の交換が始まっていてそれを経験していたことを思い出します。

 

主に女の子の間で名札に可愛いシールをつけるのが流行っていましたが、子供だから他の子がつけているシールが欲しくなってしまうことがありますよね。

 

例えば可愛いクマのシールが欲しいけど、シンプルなシール一枚では見合わないので三枚で交渉する。ダメなら諦めるけど、クマのシールを持っている子が飽きるとただで貰えたりするなど、「今現在でも当てはまるよな」ということが幼い頃からすでに起こっていました。

 

 

小学校に上がっても、消しゴム、練り消し、鉛筆の交換など、色々流行りました。

そのたびに、そういえば交換とかしてたよなぁと思い出しました。

 

〝世の中にある大抵のものはお金に換算できる〟ということですが、これは土地などの大きなものに始め、メルカリを見ていてもわかるように、昔ならゴミとなっていたものまでなんでもお金に換算できるということがわかります。

 

 

第二章は【経済のあやしい主役】株の話
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よくよく考えれば世の中の大体の会社って株式なのに、株の存在感って薄いような気がします。

この本ではアメリカでは小学生からすでに株の事を学ぶとのことですが、日本ではそんな事は学びませんよね。

 

確かに株の事を知らない人であれば株=騙されるなんて考えている人もいますが、成り立ちや世の中の経済を語るには切っても切れない話です。

 

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第三章【払うのか 取られるのか】税金の話

税金ややこしいですよね。

ややこしいので避けて通りがちですが、税金の仕組みを身につけているかいないかだけで、損をすることも得をすることもあるので大事なところです。

 

税金制度の始まりから、各国の成功例から失敗例まで。

意外にもここでは皆等しく同じお金を払う「人頭税にするべきだ」ということが話されています。


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ヤクザのみかじめ料と似ているという話も面白かったです。

 

アメリカの映画では「私は税金を払っている」というセリフがよくでてくるのは、アメリカ人は税金に対しての意識が高いからであって、日本のサラリーマンだと税務署がどこにあるのかもわからずに過ごしている人も多いという話。

 

務めていると、全部会社がやってくれるので、税務署に行く必要がありませんからね。

 私も長い間税金をいくら納めているかなど考えたこともありませんでした。

 

 

ルーマニアで人口を増やしたいがために、子供を多く産めば税金を取らずに逆に奨励金がでるという政策をしたらしいですが、大失敗に終わったそう。

国の状況が変わると孤児が増え、社会問題になりました。

 

中国の一人っ子政策の問題もそうですが、国力の為に人為的に子供を増やそうとすることだけはやめてほしいと思う。


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第四章は【なにがアメリカをそうさせる】

経済大国アメリカの歴史から国民性、経済の在り方まで。

正直どういう経緯でアメリカという国が出来たかということでさえ知らなかったので純粋に勉強になりました。

 

 

日本は不安因子が強いのか安定志向、アメリカでは新規開拓で挑戦しやすい土壌がある。
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第五章は【お金が国境をなくす】
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ユーロ経済という事で、ヨーロッパの経済状況です。

2018年現在でもヨーロッパ諸国の経済状況はあまりよくないとか、勢いはないと言ったのが私のイメージでしたが、そもそもユーロが出来た時点で成長は終わっているという事がみてとれます。

 

 

 

 

 

 

第六章【強いアジア、弱いアジア】

ヨーロッパの次はアジア経済です。

日本を始め、韓国、タイ、インドネシアベトナム、中国、ソ連など各国の成長過程がわかります。

 

ここでは〝貧しい国はいつまでも貧しいのか〟という話がありますが、「貧困の悪循環」というのは国だけでなく人でも当てはまると感じた。

解決策は、他の国から借金をしてでも何か事業をやるとのこと。

 
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第七章【いまを取るか、未来を取るか】投資と消費

ここでは投資と消費の違いについて対話されています。

株はもちろん、教育は投資なのか、消費なのか、というところは興味深いです。

 

 

第八章【お金はクリエイティブな仕事】企業とビジネス
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昔の起業と今の企業は違うよね、という話。

今の時代の方が起業はしやすくなっています。

 

スティーブ・ジョブズビル・ゲイツ始め日本人の先人たちの企業マインドが学べます。このアニマル・スピリットは昔も今も変わらないんだなぁと思いました。

 

2008年の今でこそ、年功序列や終身雇用に対しての疑問視が出ていますが、この2002年ころからもう話題にはなっていたんですね。

 

 

 

第九章【人間とは労働力なのか】労働と失業

昔は食べる為に働いた、無いものを補うために働きましたが、現在はものは溢れかえっている時代。

なんで働いているんだろうと疑問を持つ人が出てきてもおかしくありません。

 私もその一人です。

無駄に雇用を作って赤字をつくらずに、働くという根本的な意味を考え直す時がきたのではないでしょうか。
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終章【競争か共存か】

今の日本には『競争のための競争』という無意味な競争があるという話。

いいものを作って勝つということではなく、勝つために勝つという無駄な構造が日本の資本主義の惜しいところです。

 

 

ここ出てきたタイタニックジョークが面白い。

女性と子供を先に逃がすために投げかける言葉が国によって違うというジョーク。

イギリス人には「あなたはジェントルマンなんだから女性と子供に先に譲りなさい」

アメリカ人には「ヒーローにはなりたくはないか」

ドイツ人には「ルールなんだからまもらなくてはいけない」

日本人には「みんながそうしてるんだから、あなたもそうしなさい」

 

これは皮肉にも本当にその通りだと思います。

日本人は協調性はあてっても主体性のないこと。

 

「本当は我々の政治の中には、今のものを壊す仕組みというものを必ず持っておかなきゃいけない」

「日本の今のシステムというのは、それがないどころか逆に壊すまいとする非常に強固な仕組みがある。」

 という会話が非常に印象的でした。

 

 

【その後】

その後の対話ではグローバリゼーションについての話が出てきます。

今では当たり前に使われているグローバルという言葉ですが、この頃はまだ言葉がでてきたばかりといった感じで、新鮮な響きです。

 

情報革命、流通革命、金融革命

といった爆発的なスピードを作っている一部の人に、普通の人が追いつけていないということが問題として話題にあげられています。

 

2018年現在で格差が問題になっていますがこのころからもうそれは小さな波として表れていました。

 

これからの世界がどういう風に変わって行くのかが私は楽しみです。

 


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 感想まとめ

経済について全く無知だったので、パラパラ読んだ程度では理解できませんでしたが、言葉の意味を調べながら読んでいくと世の中のことが少しわかり、無知からの脱出をすることが出来ました。

 

内容は少し古いものですが、今の時代との比較もできるので、経済のベースを学ぶためには役に立ちます。

 

 

経済ってそういうことだったのか会議 (日経ビジネス人文庫)

経済ってそういうことだったのか会議 (日経ビジネス人文庫)