無知から始める読書習慣

読んだ本の感想と日々の変化記録

『アスペルガー症候群の難題』井出草平    感想

ここ最近で頻繁に耳にするようになった〝アスペルガー症候群〟という言葉。

ネットなどでも一般常識から外れた書き込みや、相手のことを考えない書き込みがあると、簡単に「アスペルガー」といった言葉で罵ったりしている人もみられます。

 

前にユーチューブを見ていたら「アスペルガーと診断されました」と動画を公開している人がいました。

しかしその人の動画を見ても特に目立って人と変わって見えるところはない。

口頭では「こういうところが異常だ」などとは述べているものの、私にはイマイチ理解ができませんでした。

 

そこで、今回は本屋さんで見つけた〝アスペルガー症候群の難題〟という本を読んでみました。

 

内容は、【アスペルガー症候群と犯罪】についてに重きが置かれていました。

しかし、決してアスペルガー=犯罪を犯しやすいということが言いたいのではなくて、

アスペルガー症候群の特性を知り、犯罪が起きてしまった時にどう対処するか、事前の対策などの重要性、情報共有の必要性についてなどが書かれてあります。

 

 

【17歳の犯罪】という言葉が報道されるようになった時期があり、相次いで奇怪な殺人事件が起こり、理解不能な少年の殺人行為は世間を騒がせた。

「最近は凶悪な犯罪が増えた」という言葉が度々聞かれますが、犯罪が多かった時期は戦後が一番だそうで、率も今では五分の一にまで下がっているそうです。

 

犯罪の数は減ったかもしれないが、「犯罪の質が凶悪化しているんじゃないか」との考えに対しては、昔も今も凶悪な犯罪を犯すものは一定でいたということがデータを用いた説明でわかりました。

 

しかしアスペルガーの診断を下すには、幼少期の行動の観察が必要なので、昔の人物で残酷な行いをする人がいても、憶測では「アスペルガーなんじゃないか」と言えても診断を下すことはもちろんできない。

 

・神戸児童連続殺人

・大阪姉妹殺人事件

全日空61便ハイジャック事件

などの凶悪犯罪が例に書かれてあって、犯行当時の様子や、犯行後の少年が発した言動や考え方などがやはり一般とは違う思考回路を持っているんだなと感じました。

 

この当時から〝アスペルガー症候群〟という言葉がニュースなどでも出てくるようになり、今現在では逆に使われなくなったとのこと。

使われなくなった理由は、ちゃんとした知識を持っていない人が間違った情報を流したりして世間に誤解を与えてしまうから。

 

共感性の欠如や、家庭内暴力についてもかかれてあり、個人の問題とするのではなく、社会の問題として捉え、公的な支援をしいくべきだというところには納得しました。

しかし自分の子供が自閉症や精神病だということを受け入れられない親も多く隠したがる人も多いので、そこがネックなんだと私は思いました。

 

この本ではアスペルガーと犯罪との関係性について書かれてありましたが、アスペルガーの方は才能豊かな人も非常に多いと聞くので、今度はまた違った視点での本も読んでみたいと思います。

 

アスペルガー症候群の難題 (光文社新書)

アスペルガー症候群の難題 (光文社新書)